白衣の独り言

良いことも悪いことも、人生には必要みたい。それでもやっぱりできるだけ、悪いことは少なめであって欲しいから、みんな頑張っているんだね。

2007年12月3日月曜日

ありがとう


今日、

夜勤明けで、

明日退院する大好きな患者さんに、


「きっとまた来るけど、よろしくね。

都ちゃんの笑顔を見るのが、一番の薬だよ」


って、言われました。


彼は以前「待っててくれる」で書いた、あの四人部屋の患者さん達の、一人。

二人が亡くなって、
もう一人は今、同じ病棟で寝たきりになって入院している。


私の大好きなその患者さんは、肺癌。


前の病棟で呼吸器科が入ってくるようになった去年の四月、彼が初めて入院して、初めて化学療法をする日、私が受け持ちでした。

主治医はあの医師Bで、ケモ刺しの介助について、先生が「これから一緒に頑張っていきましょうね」って、彼の手を握ったのを一緒に見てた。

それから彼は化学療法のため何度も入退院を繰り返して、他の病棟に入院しても、遊びに来てくれたりして。

笑顔の素敵な人。
奥さんと、少し知能遅滞のある娘さんが毎日夕方にお見舞いにきて、一緒に夕食を食べる。
奥さんも娘さんも、彼と一緒で、いつも笑顔。

けれど、化学療法が効かなくなり、放射線をかけ、
先日、膵臓に転移しているのが見つかり。

自分が癌であることも、化学療法が効かなくなってきていることも、膵臓に転移したことも、その都度彼は告知を受けていて、それでもいつも、笑顔でいられる、強い人。

膵臓転移で腹痛があっても、決して辛そうな顔を見せない人。

本当にいつも笑顔で。


そんな大好きな彼が、

最近いつも苛々して、拗ねてふて腐れて自己嫌悪して、人の目を気にしてばかりいる私に、そんなことを言ってくれた。


前日の夜勤入りで、先輩と仕事以外のことで少しもめて相当へこんでいて

彼の言葉が、ものすごく奥の方に、染みた。


自分の病気も、自分のこれからたどる道も、なんとなくわかっているだろう彼が笑顔で言う、その言葉。

私の笑顔とは違う、本物の笑顔。


彼は強い。
強くて、優しい。


いつかきっと、彼を見送る日が来る。


でも彼の笑顔を、言葉を。強さを。


忘れることは絶対に、ないでしょう。


彼に出会えたということだけで、私は一生この仕事に誇りを持てそうな気さえする。


大好きな彼が、
家族と一緒に、幸いな時間を、どうか長く長く、続けられますように。

その手助けができるくらいの力を、私が持てるように。


次に彼と会うときは、きっとまた、笑顔で。


ありがとう。
http://blog.with2.net/link.php?469768





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5 件のコメント:

Anonymous 匿名 さんは書きました...

はじめまして。
看護師をしてると、いろんな出会いがあって、いろんな別れがありますよね。
すべて大切にしていきたいですね。

2007年12月6日 10:05  
Anonymous 匿名 さんは書きました...

患者さんは、看護師を本当によく見ています。
その患者さんにそういわれた都さん、きっと本当に、素敵な看護師なんだろうなって、思います。
頑張りましょ!!

2007年12月8日 19:10  
Anonymous 匿名 さんは書きました...

>都さんこんにちは
笑顔が薬になるといわれる都さんは本物です。うその笑顔ではそのようなことは言われません。すばらしいです。

2007年12月10日 15:01  
Blogger  さんは書きました...

このコメントは投稿者によって削除されました。

2007年12月14日 12:38  
Blogger  さんは書きました...

うたこさん>
初めまして! きっと同業者の方ですね…。
ほんとに、色々な人と出会って、色々な人と色々な別れ方をする職業ですよね。どんな出会いも、別れも、大切にしてきたいなって思います!!

かおるさん>
その患者さん、すごく素敵な笑顔で、むしろ笑顔が伝染してきた感じです。私も誰かを笑顔にさせられますように…。

神風さん>
なんだか、好きな人から告られたかってぐらい、相当嬉しかったです(照)笑顔で接するのってほんと大切だなって思いました…。
頑張ります!!

2007年12月14日 12:38  

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