妻の愛
今日は夜勤明け。
内科二次だったにも関わらず、病棟はわたわたしていました。
脳梗塞後の症候性てんかんの方が物凄い不穏。
看護師の制止を振り払い歩き出す、怒って手を上げる、ご飯の御茶碗をひっくり返す、点滴は抜く。
朝は抑制されていたようなのですが、余計に興奮し両腕に抑制の痣が真っ赤になって残っているのでできない。
歩行もふらふらするのに、困ったことに頻尿もあり、何度も歩き出してしまう・・・
センサーマットを敷いても30分とおかずに鳴ってしまい看護師は全く他の仕事ができない。
夜間帯これは管理が難しい、と日勤が判断し奥さんを呼ぶことに。
いらっしゃった奥さん、申し訳なさそうに私達に頭を下げて、患者さんに「だめでしょ」と怒る。すると患者さん、えへ、って笑って大人しくなり。
凄い。
夜間も付き添うことになり、昨夜は色々な事情(まぁ主にインフルです・・・)があり個室へは移動できず、リカバリールームで他の患者さん達と共に付き添っていただくことに。
医師からもう点滴は終了、眠剤二回まで追加可と言われ眠剤も飲み、患者さんは少し寝たんですがやっぱり何度も起き上がっちゃう。
それに何度も付き合ってあげる奥さん。
一度、奥さんが寝入ってしまっていて声をかけても起きず、代わりに私がトイレ誘導したんですが・・・
帰る途中他の患者さんのところへ行こうとする彼を自室に促すとやっぱり蹴ろうとしたり顔を殴ってきたり。
他の看護師は休憩に入っていて助けがなく、手を離すと倒れてしまいそうで、奥さんに声をかけて何度目かでようやく起きた彼女。
「何してるの、だめでしょ!」と彼女が怒ると、やっぱり患者さん、てへ、って笑ってすぐに静かに。奥さんの誘導でベッドへ。
奥さんが体をさすってあげると、患者さんはすぐに静かに入眠。
いやぁ
凄い。
妻の愛です。
「困ったもんですね・・・」
と溜め息を付く彼女。
時々叱りながら、溜め息をつきながら、それでもとんとんと寝かしつけるその背中には、愛情が溢れている。
けれど朝、医師からは「もう点滴もできるような状況じゃないし、病院も管理が難しいし、慣れないところで様子を見るよりは家へ帰ったほうが良いでしょう」と退院を宣告。
入院してまだ2日目。もともとはもう少し奥さんと会話でき、ADLも自立していたという彼。奥さんは夜の間の状況を見て、顔を曇らせてできればもう3日くらい、と言ったのですが、やっぱり医師の説得で退院に。
医師の言うことは、本当はもっとも。内服に切り替えて自宅療養できるなら退院になるし、こういった方を今のこの救急病棟の状況で看て行くことは難しい。もとのADLから一気に下がったわけでもなく、歩行もなんとかできる状態。問題は付き添わなければいけなくなったことと、やや意思疎通が困難になり呂律不良がUPしてしまったこと。ただリハビリ病院ではないうちの病院でリハビリのためだけに入院はできない。転院してのリハビリ適応かと言われるとそこまででもない。
感情からなら、本当はもう少し入院させて患者さんの様子をみながら今の現状に対する奥さんの心の整理と家の受け入れを整えてから・・・と言ってあげたいのだけれど、この状態で救急で看続けることはできないと自分でもわかっているから、それも進言できない。
難しい。
奥さんは彼を見ながら苦笑して「仕方ないですね」と。
その苦笑にも、彼女の愛が滲んでいる。
私ももし彼が同じ状況になったら、こうやって愛情のこもった苦笑をできるのだろうか。
仕方ない、この人と一緒にいたいと思ったのだから、と、愛情の溜め息をつきながら笑えるだろうか?
↓ 皆さんの元気なブログへ ↓
http://blog.with2.net/link.php?469768
・
ラベル: 看護師
1 件のコメント:
がんばってください。
コメントを投稿
登録 コメントの投稿 [Atom]
<< ホーム