白衣の独り言

良いことも悪いことも、人生には必要みたい。それでもやっぱりできるだけ、悪いことは少なめであって欲しいから、みんな頑張っているんだね。

2008年8月15日金曜日

ミス

先日、うちの病棟でアクシデントがありました。

点滴の、対象患者の間違いです。


今、夜勤の看護師の人数が減らされ3人で動いています。メンバーが二人、リーダーが一人。

今まで自分の受け持ち患者の点滴(メイン以外)はメンバーが行っていましたが、そうすると夜勤が回れなくなるため、リーダーが点滴をしていくようになりました。

メンバーが点滴をつめ、リーダーがそれをもってつないでいく。

もちろん、間違えないようにバーコードで行う認証システムがあります。

でもその日、臨時で出されていた抗生剤で、そのバーコードの認証はできませんでした。

なので、確認はパソコン上の「患者スケジュール」というところで。

ところが、患者スケジュールで患者さんの名前と点滴自体が間違いないことを確認したのに、その点滴の対象患者の名前と実際自分がつなぐ患者さんの名前を、ぱっとしか確認しなかった。

ちなみに、同じお部屋の隣のベッド。苗字は一字違いでした。

「○○さん(抗生剤を打つはずの人の名前)、点滴しますね」

「はい。何の点滴?」

「抗生剤ですよ」

「ふーん・・・」

間違った名前を呼ばれたけれど、一字違いだったので、患者さんも気付かなかったようです。

で、始めて1、2分でナースコール。

「ねぇ、点滴の名前が違うんだけど」

「!!!!!」

慌てて飛んでいって、抗生剤の名前が隣の患者さんだということが発覚。すぐに謝罪、中止、医師に報告。

倖いアレルギー症状もなく、様子観察ということだったんですが・・・患者さんは凄くショックだったようで、退院する日まで、周りの患者さん皆にその話をしていました。


夜勤があけ、日責師長に報告し、メンバーに報告し。


でもそれだけではありませんでした。

次の日の夜勤、ある患者さんの家族からこういう言葉が。

「うちのおじいちゃん、抗生剤中止だって言われてたけど、昨日一回されたみたいなの。5分くらいですぐにやっぱり中止だったって止めたらしいんだけど・・・中止でいいんですよね?」

その、点滴を間違えた看護師が、もう一人、点滴ミスをしていたんです。

点滴を作るときに見るワークシートという紙には抗生剤の指示が入っていて、メンバーがそれを作りました。でも、いつもなら定期処方として点滴とラベルが上がってくるのに、その日に限ってそれがなかった。なので、臨時で作られた抗生剤。これも、バーコードでの認証ができませんでした。

で、点滴をつなぎに回ったのはリーダー。

今までも行っていた抗生剤だからと、パソコンでチェックする前につないだ。患者さんと、息子さんの目の前で。

あ、パソコンで確認しなきゃ、と慌てたのはその5分後くらい。確認したら、抗生剤が入ってなかった。

すぐに戻って患者さんと息子さんに謝って、点滴を抜いたそうです。

でも、朝の報告のときは、「この人の点滴はなしで大丈夫だったんですよね」という言葉しかなかった。

患者さんの家族から、行くはずでなかった抗生剤が5分いっていたことがわかったんです。

さて、

皆さんこの看護師を、どう思いますか?




この看護師、私です。



最初に間違えたのは、やるはずなかった抗生剤の方。

気付いたときにはちょっとパニックに。

で、パソコンで確認、パソコンで確認、ともうそれ一心になってしまったようで・・・その後の対象間違いは、パソコンばかりに頭がいってしまって患者さん自身に名前を言ってもらわず、自分でもその人の名前を確認しなかった。

そして間違えたことに気付いたときには、今度こそほんとのパニックに。

だって最初の人と違って、その患者さんは今までその抗生剤を使ったことがあるかもわからず、アレルギーショックを起こしたら死の危険さえあった。

とりあえず症状がなかったから良かったものの・・・。

朝の報告のときも、もうそっちの人で頭がいっぱいになって、最初の人のことは「今までいってた点滴だから大丈夫だ」という考えになってしまい、点滴が実際行ってしまったことを言わないで終わってしまった。

だからこそ、その次の勤務の日、主任に呼び出されたとき、私は点滴の対象間違いのことだとしか思わなかった。行くはずなかった抗生剤の人のこと、ほとんど忘れかけるくらい、ショックだったから。

でも主任が言ったのは、その行くはずなかった抗生剤の人のこと。

「報告しなかったのはまずい。言いにくい状況だった?」

と。


あ、

隠した、って思われてる。


と思ったら、一気に涙が。

隠したわけじゃなくて(だってその人、うちの病院の看護師の義理のお父さんで、息子さんの目の前でやったことだったし)、ただ念頭から外れてしまっただけだったけど、

でも状況からしたら、大きなミスをして、もうひとつのミスくらいは隠そう、みたいにとられても仕方ない感じの。

主任さんは、守れることも、報告がなかったら守れない、と言ってた。

泣きたくないのに、涙が出てしまう。あーいつもこうだ私。


一番まずいのは、それ以上に大きなミスをしてしまったとはいえ、今までいってた抗生剤だから、5分程度大丈夫、になってしまった私の頭。


なんだか。

この数日、きつい。


お金をもらってるから、仕事にはちゃんと出ます。夜勤もして、リーダーだったらこれからも点滴、回ります。

でも・・・。

多分これからしばらく、きついんだろうな。

 
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3 件のコメント:

Anonymous 匿名 さんは書きました...

はじめまして
私はクローン病を患っています。
最近入院したのを気に看護師さんの仕事に興味をもち本などを読んでいます。
点滴でミスをなさったとの事。
患者側の立場から見るとやはり怖いです、もしかすると医学知識のあるあなたの方がもっと怖かったのかも知れません。
私は特に似た名前がある時は同室でなくても警戒します。
ただそれは私がある程度元気な時だけで具合が悪く寝ている時は眼鏡外すので点滴が何かも分からないし、看護師さんが名前を読み上げても相槌みたいな返事をするだけです。
そう言うことを考えると看護師の負担は大きいんだろうなと思います。
なにもかも看護師に押し付けたくはないと思っていますが、頼らなければならない時の方が多い。
本当に申し訳なく思っています。
失敗は良くないし「忙しいんだ、そのくらい誰でもするよ」みたいな気休めも言いません。
けど失敗に潰されないで下さい。
がんばっているあなたを応援します。

2008年8月19日 23:11  
Blogger  さんは書きました...

多雨やさん>
コメント、ありがとうございます。
失敗は、ほんとに怖いです。もしこれが患者さんの体に合わない抗生剤だったらと考えると余計に…。
今回は患者さん本人が気付ける方だったからすぐに発覚して早く中止できましたが、これがもし、寝たきりの患者さんで自分では訴えることができなかったりしたら…。
本当に危険なことだったと思います。

なんだか今回のことは、本当に色々身に染みました…。
失敗は、ほんとに怖い。でも「失敗に潰されない」ように、これからもがんばりたいと思います!

2008年8月21日 3:50  
Anonymous さいたまの看護師 さんは書きました...

点滴のミスですか・・・めげないでくださいね。

2011年2月28日 3:34  

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