聞いて欲しい CF当日編
さて、
前回の続きです。
一晩が明けて検査当日。
多分長くなるだろうと、他の患者さんを回ってから朝の内服を持って訪室。
したら、第一声、
「私が昨日文句を言ったのはね、入院のときと昨日の状態では全く違うということなんですよ! 下痢をしていて更に下痢をさせるなんて、酷いじゃないですか!」
・・・・・・
大腸の検査を望んだのは彼で、
下痢は大腸検査の前処置どうの以前に彼が便秘だからといって飲んだ下剤のせいであって、
CFのためにはちょうどいいといえばちょうどいい状態であり、
結局検査のためには下痢をしなければならないのであってその説明も医師や看護師からしていてご本人も医師なのでわかっているはずであって、
・・・・・・
その後、彼の話を20分、聞きました。
昨日の状態、朝から。お孫さんが来て色々話したこと、医師の家族はどんなものかということ、お父さんの話、戦後の話、昔うちの病院にいた医師の話、自分が以前入院したときの話。そして今回肝機能が下がったと聞いて凄く驚き怖くなったこと、毎朝の回診もなく医師からちゃんとした説明がないこと。
聞きながら、はたと気付きました。
あ、私、偏見持ってた。
この人、医者なんだからわかるでしょって思ってた。
わかってても、怖いものは怖い。
辛いものは辛い。
普通に考えて、下痢をしている状態はきつい。
検査がどうのこうのというのはおいておいて、その辛い状態を看護師に伝えたのに更に下剤を持ってこられたら?
そりゃ怒るでしょう。
私の言葉には気遣いがなかったし、下痢は下剤飲んだんだから当たり前だという思いもあった。
彼の怒りは当然の事なんだ。
後半はただひたすら謝罪。
朝部屋に入ってから、彼はずっと私を見ませんでした。顔をそっぽ向けているので、そちら側のベッドサイドに回ったら今度は反対を向いてしまった。
でも、謝り続けて、最後の5分くらいは私の方を向いてお話してくれました。笑顔も見られるようになりました。
「いや、私もね。聞いて欲しいと思ってね。昨日すぐに医師に確認しに行っちゃったでしょ。その前にもっと詳しく聞いて欲しかったんだ。忙しいのはわかるよ、隣にバイパップもいるんでしょ? でも聞いて欲しくてさ」
ごめんなさい。
逃げた自覚、あります・・・。
いけない。
救急病棟は忙しくて、看護師達は彼のように少し話をしたいという患者さんを避ける傾向があります。
優先順位はあるけれど、だからといって患者さんから逃げていいわけではないのに。
検査は自分が望んだんだし、頑張りますよ、と彼は言ってくれました。
今回の事で、なんだか色んな事を教わった気がします。
すっかり忘れてしまっていた8年前の初心とかね・・・。
偏見を持たないこと、忙しさに逃げないこと。
患者さんの立場に立つこと。
これらは当然の事。でもいつもそれを念頭においていた新人からの頃から4,5年目になると、徐々に薄れてしまいがちと言われています。
自分がリーダーの立場になって、新人さんたちを指導するようになると、彼らのそういうきらきらした「患者さんのため」という思いに私達もその初心を胸に思い起こすことが多い。
ここは、救急病棟。新人さんは入ってきません。一番下は4年目の看護師。その次がもう、私を含む8年目の年代。
毎年4月には必ず思い起こされていたあの初心。彼が呼び戻してくれました。
忙しさに負けてはいけない。
ゆっくりは聞けないかもしれないけれど、じっくりと聞くことはできる。
入職のときの自分の言葉を、忘れないように。
これからも、頑張ります。
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ラベル: 看護師
2 件のコメント:
ドンマイ! ドンマイ!
しかし、すぐに気持ちを切り替えて、初心に帰る。
そして、患者様のためを見つめなおす。
なかなか出来るもんじゃないですよ!
偉いですね!
これからも、その調子で頑張ってください!
適当にストレスは発散させながら…
<室川武男さん
ありがとうございます(泣)
ストレス発散、難しくて先日また胃痛が…
いけないいけない。
色んな意味で、切り替えって大切だなと最近つくづく思います。
自分中心にならないように、患者さんをちゃんと看られる様に。
これからも頑張ります!
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