白衣の独り言

良いことも悪いことも、人生には必要みたい。それでもやっぱりできるだけ、悪いことは少なめであって欲しいから、みんな頑張っているんだね。

2009年5月21日木曜日

インフルエンザ


今、世間はインフルエンザの話題が絶えません。

拡大の速さは、本当に怖い。

既に、うちの病院でもマスクは備蓄のみになっています。

病院の売店も、小売の高価なマスクが少量残っているのみ。

自動販売機でも売っていたんですが、もう追加補充はないそうです。

患者さんが病院に来ても、マスクは手に入らない状態。

看護師達も毎日病院のマスクを使って仕事をしていますが、以前のように少し汚れたからといってすぐ交換、というわけにはいかなくなってきました。

先日救急外来の担当をしたときも、来ました。インフル疑い。

直接病院に来てしまった方なのですが、インフルの症状が濃厚。更に、最近阪神戦を見に行って関西方面の人達に揉まれてきたとか。

先に患者さんに保健所に電話してもらい、こちらの病院にかかっても良いという確認をとってもらってから、診察しました。

とはいえ、他の患者さん達と一緒に待たせるわけにもいかず、検査結果がでるまで自分の車で待機してもらいました。

結局、検査結果は陰性でほっとしたんですが・・・それ以外でも、この数日で問い合わせの電話が多く鳴るようになりました。

感染者が出ていなかった間、テレビと会社の上層部は騒いでいましたが「まーうちには出てないしねー」とほとんど傍観者&他人事だったという日本人。

それが今回感染者が出始めて、日本は他国から騒ぎすぎとも言われています。

海外でマスクをしている人達はあまりいないようで、その代わり手洗いうがいをする。

確かに、かかったとしてもたぶんこれだけ騒がれているので早めに気付き早めに受診するでしょう。そうすればほとんどの方は軽快に向かいます。

高齢だったり持病があったりする方は危険ですが・・・。

他国に騒ぎすぎと言われようが、予防は大切。

更に、もし自分がかかっていたとしたら、周りに感染させる危険もありますし・・・。

ネットオークションでは、マスクが10倍の値段で売られている始末。

そのうち、こういう病気への恐怖心につけこんで変な商売まで始まりそうです。


インフルエンザが流行し始めたときに何故マスクの会社の株を買わなかったのか。

うちの看護師達はそんな不謹慎な事を話しています・・・。


そしてとうとう、近くの市民病院が今日から発熱外来を始めました。

これが、13時までに60人が殺到という状態。

うちでも、もうすぐ発熱テントを開始する予定を立てています。

でも、この発熱テント。全くもって非現実的。

外にテントを張り、インフル疑いの患者さん達に対して病院の中に入る前にインフルの簡易検査を行うというものなのですが・・・

外は非衛生的。かつ、無防備。

結果が出るまでどこで待つのか。上で書いた患者さんみたいに、皆が皆、車で来院するわけじゃない。
もうすぐ季節は梅雨。雨が降ったらどうするのか。みんな病院の中に入って検査結果を待つのでは。

更にその発熱テント。いったい誰が働くのか?

ぎりぎりです。うちの病院の看護師。

どこも手が足りない状態で、公休さえも全員取りきれていない状態で、これ以上どこに人出を出せる余裕があるのでしょーか。

そして、新型とはいえ毒性は弱いこのインフルエンザ。医療者からみれば、よほど脱水だとか症状が重くない限り通常のインフル同様、タミフルかリレンザ処方で自宅で療養というのが基本。

今は日本は原則入院にしているようですが、今後自宅療養になる方も出てくるでしょう。

その説明に、患者さんやご家族が納得するとは思えません。

うちに感染病棟はありません。個室だってほとんど空いてない。そんな中で、入院適応な方が出たら。或いは、適応ではなくても入院を強く希望する方が出たら。

「新型」=未知という恐怖は、パニックを起こす引き金になります。

もしそばで「怖いわねー」とか一緒に話しながら検査結果を待っていた隣の人がインフル陽性だったら・・・。


それでも地域中核病院、急性期総合医療を担う総合病院として、発熱外来に準じた対応をしなければいけないという方針を打ち出したうちの病院。

このインフルエンザは、どこまで影響をばらまくのか・・・。


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