白衣の独り言

良いことも悪いことも、人生には必要みたい。それでもやっぱりできるだけ、悪いことは少なめであって欲しいから、みんな頑張っているんだね。

2009年7月6日月曜日

連休明けから

連休明けって、どうしてこう仕事に行きたくなくなるもんなんでしょうね・・・。

昨日、夜勤前ずーっとうだうだ「行きたくないー」と言っていた私。

それが祟ったのでしょうか。

最初から患者さんの多い夜勤に。

もう病棟が変わっていないだろうと思っていた例の人工呼吸器の方もまだしっかり乗っていて。

この方は病状が落ち着いているから良いのですが、他の方達はまだまだ急性期。

レベルの悪い方がいれば、レベルが上がって不穏になる方。

整形の腰椎圧迫骨折のおばぁちゃまは、全介助でご飯を食べ、ずーっと喋っていてお話途切れない・・・。

「私はね、フランス製のベッドに寝てたのよ。電動だからあまり動かないでいたら足がむくんでねー。で歯医者さんに行って帰ってきたらもー腰が痛くなってね。この枕硬いのね。私低反発の枕使ってたのよ。このお肉も硬いのね。まー息子達がね、胃は大丈夫だから食べなさいって言うのだけれど、私ほら寝たまんまだからそんなに入らないって言ってね」

さっきも聞きましたそのお話。

その間にも入院が二件。

一人は意識障害という触れ込みできた意識障害のない肺炎のおじぃさま。

うとうとしているだけで、レベルには問題なくほっと一安心。

なんてやってたら

「都さん、カテ」

容赦ないリーダーの一言。

もうすぐ締めの時間なのにー

やりましたよ・・・救急外来の患者さんの心臓カテーテル。

しかも  BIPAP  付けながら。

皆さんBIPAPって知ってます?

詳しく説明すると難しくなるんですが、普段使う人工呼吸器のように気管切開や挿管をしなくても、マスクをすることで使える陽圧換気のことです。

マスクがしっかりと合わないと意味がないし、強制的に思いっきり吹き込まれるのでつけてる方はなれるまで結構辛い。

よく睡眠時無呼吸症候群の方やナルコーシスになりやすい方が夜間につける簡易的なNIPPV、あれの大きいバージョン。

そう、

大きいんですよ・・・

先生達が心臓をモニターするために患者さんが寝た板をスライドさせ、

患者さんの頭側から心臓をはさむようにして造影するC型の機械を、見たい位置に容赦なく回転させます。 

あたる! あたるー! 

「あっごめんね」 「あっまたやっちゃった」

先生! こらっマスクにぶつけないで!!

患者さん、92歳だったんですが・・・ほんと、凄くしっかりされている方で。

マスクにがつがつ機械があたっても眉をそっと顰めるだけで、一生懸命あのBIPAPの押し込み空気にも耐えてくれました。

高齢の方は大抵嫌がって外すんですよね・・・。


心不全疑いだったんですが虚血が強く、やってみたら見事に#3が99%の狭窄。左も二箇所70%ほどの狭窄があったんですが、ステントは#3にだけ入れて、終了後CICUへ入院となりました。

病棟に戻ったのは1時半。2時間かかったようです。


少し休憩し、リーダーさんが次に休憩に入り、朝5時半。

ん? 

救急外来の、さっき来た救急車の患者さんを電子カルテでチェックしていたら、

「入院決定」

先生のプログレスノートに書かれた文字。

その下の入院決定オーダー。

・・・そうですね、うちですね。まだ5時半なんですもんね。

カルテを見ると、血液ガスデータ、pCO2、値振り切り。

あっ・・・ナルコーシスですね。振り切っちゃいましたか。そりゃ入院ですね。

まだこちらに連絡は来てなかったけれど慌てて入院準備して、他の患者さんの検温に回っていたら、ストレッチャーの音。

いやいや。

連絡しましょうよ。

・・・なんていってる場合ではなかったみたい。患者さん、SpO2が70%台。

そして今夜2回目のBIPAP・・・

でもBIPAPを装着したらSpO2も戻ってきて、患者さんも目を少しあけ頷くことができるようになりました。

少しほっとして、一緒にいた奥さんも嬉しそうに患者さんに声をかけて。

他の方の検温にまわり、あの腰椎圧迫骨折の方に捕まり、不穏の方を宥め、レスピの方の注入をし、合間にBIPAPの方を見に行き。

食事が来たな、と思ってナースステーションで顔を上げたら

ん?

BIPAPの方のモニター。

なんだか・・・

SpO2はさっきと同じ。血圧も120台。でも、HRがさっきより頑張ってる感じじゃない?

モニターの呼吸回数はあまり当てにならないけれど、なんだかさっきより頑張ってる感じじゃない?

なので患者さんのとこ行ったら、

下顎呼吸、になってました。

慌てて当直医コール。その患者さんの主治医は一番偉い先生。今回の入院ではしっかりとDNRの話はしておらず、脈もまだ100台で血圧もあるならその主治医の先生が来てから、と言う当直医の先生。

いやいや。ちょっとこの感じ、9時までもつかなという感じですよ。

・・・なんて電話している間にSpO2がまた70台へ。

渋っていた当直医に現状を伝えて、来てもらってご家族にお話してもらい。

結果DNRに。

BIPAPの設定も少し換えてもらい、SpO2は90台へ。

一度帰るというご家族を申し訳ないけれど引き止めて、

8時半にリーダーが申し送りをしている最中、腰椎圧迫骨折の方の食事介助。

介助している間も、BIPAPの方が気になって気が気じゃありませんでした・・・。

でもナースステーションに戻ったら、バイタルは少し安定していてほっと一安心。

なんとか無事全部の仕事を終えて、カンファレンスルームで本日の夜勤者で「疲れたねー」と少しうだうだし、

9時半頃にカンファレンスルームを出たら

あっ

主治医の先生。

来てくれたんだ、と胸をなでおろしたら、先生が持っている紙

 「死亡診断書」

30分の間に、SpO2が下がり、血圧が下がり。先に呼吸が止まったようでした。

ご家族を引き止めてよかった。

奥さんは、入院してからずっと患者さんのそばで足をさすってました。

当直医の先生からDNRについて話されても、あまり理解されていない様子で、私達看護師からも何度も説明していました。

息子さん二人と、娘さんと、奥さん。

4人に見守られて、亡くなった患者さん。

朝、BIPAPをつけて少しだけ目を開けて、頷いたりもできたのに・・・。

でもそのとき、奥さんが一緒にいられて、良かった。

ご冥福をお祈りします。


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