白衣の独り言

良いことも悪いことも、人生には必要みたい。それでもやっぱりできるだけ、悪いことは少なめであって欲しいから、みんな頑張っているんだね。

2009年7月14日火曜日

コールと勇気と、結果。


今日も夜勤明け、都です。

リーダーの経験のある方なら、コールする勇気の大切さ、理解されると思います。

真夜中。医師はオンコール、つまり病院内にはいない。しかも科の中でもトップの医師。

患者さんの状態の相談をしたいとき、こういったシチュエーションが一番迷います。

確実に電話をしなければならないことならすぐにコールできるのですが・・・

患者さんの状態の相談。看護師では判断の難しいこと。

医師に相談したい。

そんなとき、あなたなら、夜中の3時、オンコールとはいえ科のトップの医師を呼べますか?

医師にもよりますが、オンコール、仕事なのに、そんなことで電話してくるなと怒鳴る人もいます。

ケースバイケース。


今回、一人の患者さんが亡くなりました。

昨日の夕方来た患者さんは、肺癌。でも今回は嘔吐と右胸の痛みで来院。

レントゲン上気胸もないし、血液データは脱水なので、とりあえず入院・・・と主治医の先生。

血圧はもともと80台。酸素を2LマスクでSpO2も良値。ただ、時々急にSpO2が下がることがある。

そして、なぜかうなっている。

痛いの? と尋ねても首を振る。苦しくもない。気持ち悪くもない。

ならどうして唸るのか。 認知症もない方なのに。

とにかく身の置き所のないような状態で、でも、原因がわからない。

今、患者さんの体の中で何が起きているのか・・・

本当に脱水? 確かに尿は少ない、HRもタキだけれど、右を向いたり左を向いたりこの身の置き所のなさ加減は脱水だけではない気がする。

胃潰瘍と腹部大動脈瘤が既往にあるけれど、胃潰瘍でだったらもっと痛みや吐き気を訴えてもいいはず。腹部大動脈瘤が原因ならもっとバイタルに変動がある。それにヘモグロビンも下がってない。

自覚としての訴えはない。

何か検査したほうがいいのか? もう一度採血とか?

こんな曖昧な状態で、主治医でもないオンコールの医師に報告するべきか。

でも、

やっぱり、

心配。

なので、夜中の3時、自宅で寝ているだろうオンコール医師に電話をしました。

状態を話して、

『で?』

と彼は言いました。

『どうしてほしいの? その人DNRなんでしょ。モヒ始めたほうが良いってこと?』

「いえ、これが肺癌による症状なのかもわからないので、だから困ってるんです」

『だったら今何かどうこうする必要ないんじゃないの』

でも、明らかに患者さん、辛そう。

「検査とかしなくていいんですか?」

『バイタルかわんないし、辛そうってだけで自覚症状訴えはないんでしょ? 』

電話は切られてしまいました。

でも、そのあと。1時間くらいして血圧が下がってきて、SpO2も。

HR120台だったのが、徐々に90台に。

明らかに、レベルが落ちてきて。

ご家族を呼んで、オンコールの医師も呼んで。

ご家族は淡々とされていて、レベルが下がったことを伝えても「そうですか」とだけ。

そして朝7時くらいに、死亡確認。


なんだったのか。どうして、彼は亡くなったのか。

DNRだったとはいえ、あのとき何もしなくて良かったのか。自覚症状がなくても、何かするべきだったのでは。

でも何かって、何を?

こういうとき、看護師である自分の知識のなさが凄く歯痒い。

医師だったら、判断できたのか? 

それとも私にアセスメント能力がないのか・・・。

彼の体に何があったのか・・・。

引っ掛かりを残したまま、夜勤が終わりました。


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2 件のコメント:

Anonymous 匿名 さんは書きました...

肺がんは、難しいです。進行も速い。父も肺がんでなくしました。本当に宣告通りに三カ月。抗がん剤の副作用か、造影剤の副作用か、で、心筋梗塞起こし、カテーテル後、目に見えないがん細胞は、骨髄に入り脳に入り。痛みは、感じてましたが、失語症の様に、しゃべれなく、でも、会話は、わかってました。呼吸も荒く、眼球に圧かかりゼリー状の物が出て亡くなりました。この間に、三回転院しました。二件目の病院では、医長やら、出てきて、検査する前に、こんなの、がん細胞脳に上がってるの当たり前。検査しても無駄と目の前で言われ。担当医師は、呆れ顔で治療出来ません。痛みも抑えること出来ませんと、言われました。そして、去って行きました。家族はどうする事も出来ませんでした。
私は、思います。あなたの様な、看護師さんは、大切です。目で経過観察が出来る、また患者さんの訴えに疑問を持てる。気遣いが出来る。大切なナースさんです。
家族が、訴えても看護師は先生に報告しない。また師長さんも、怠慢でした。こんな家族につらい思いをさせた、看護師は、看護する資格ないと思います。だから、医師が、看護師が偉いわけではない。医師の派閥、や、病院の縦社会、つながりをなくして、良い医療をしてほしい。きっと、今の時代今回の件をご家族が知ったら、怠慢だ。カルテ公開やら、訴訟を起こす方もいるでしょう。オンコール、判断は、とても大切。怒られても、するべきだと、思います。くじけず頑張って下さい。応援します。

2009年7月15日 23:04  
Blogger  さんは書きました...

匿名さん
ありがとうございます。匿名さん、本当に辛かったと思います。悔しく、悲しかったと思います。医師や看護師に訴えても取り合ってくれないなんて、本当に、そんな酷い。完治の治療は難しくても、その都度の対症療法はある筈なのに。痛み止めだって使える筈なのに…。医師によっては痛み止め(麻薬)を使うことに未だに躊躇する人もいます。麻薬=すぐに死んでしまうという意識の方もいます。上手く量をコントロールすれば、痛みを少しでも和らげながら暮らすこともできるはずなのに。
最後は、患者さんとご家族の意思。そこに行き着く前に、私達医療者の中でストップがかかってしまわないように。医師やスタッフ達を説得できるだけの知識と、思いを、持っていられるように。
頑張ります。

2009年7月18日 8:54  

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