私がそれを、信じたいから
彼女が入院して、2日目。
家で、たくさんの薬を飲んだ彼女。
意識は徐々に戻って、少し話すこともできるようになりました。
でも、その薬が抜け始めた4日目、夜勤。
不穏状態が続き、必ず誰かがそばにいなければ離棟してしまう。
私がいても、誰がいても、「死にたい」「帰る」「眠っていたい」と繰り返す。
今は薬を抜く必要のある時期だから、不穏時の指示もあまり使えない。一度使ったけれど、やはりあまり効果はなく。
もとの彼女を知っている人間には、辛い夜勤でした。
家族は付き添いができず、個室にはおけないためナースステーションから良く見えるICUの真ん中で。
私達は小さな声で、ひそひそと話をしました。
何故、こうなったのか。これから先、どうしたらいいのか。彼女の不安は、どうしても途切れません。
今は体を休めることが大事だと、何度言っても、変わらず彼女は何度もあの辛い言葉を繰り返します。
私は頷いて、知っているよと、でもその手伝いはできないのだと。
「私は今を乗り切れるかな?」
問われて、大きく頷いても「どうしてそんなことがわかるの」と強く彼女は言います。
確証なんて、確かにないけれど。
「私がそれを信じたいから」
正直に言うと、彼女は黙ったまま。
彼女と話し、体をさすり、手を握って、朝方、ほんの少しだけ彼女は眠りました。
そして、次の勤務の日。
あの夜の彼女はおらず、しっかりと自分の足で立っていました。
「少し落ち着いたみたい」
自分でそう言って、ぎこちなく笑って。
良かった。
本当に良かった。
これから先、きっと彼女はまだ、辛い思いをするでしょう。
でも今は。
ほんとに、良かった。
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ラベル: 看護師
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